尾道正家 | 三原正家

天平時代から千三百年つづく尾道の旧家其阿彌家。備後三原派の刀匠や刀鍛冶に関する歴史的資料を公開している公式サイトです。

小狐丸(こぎつねまる)

草戸稲荷 備後の信仰を集めている草戸の稲荷さんも、元芦田川の中州にあって、あの有名な剣工(刀鍛冶)の一乗がはじめて祀ったものである。或る年、一乗が京都に上り、三條小鍛冶宗近の家にとまった。宗近が言うには、「自分は妙顕寺に一ふりの刀を奉納しようと志しているが、まだ果たさずにいる。あなたが手伝って下さったら、大へん有難いことがありましょう。」と、そこで一乗は早速承知して槌をとって助けたのである。時に、稲荷さんの霊顕があった。きたえ終って表に三條宗近、裏に法華一乗ときざみ、小狐丸と銘をうって奉納した。京都の妙顕寺にある二つ銘の宝剣が即ち是である。一乗は有難いことだと思い、早速草戸に帰って来て、稲荷さんの霊をうつし祀ったのである。これが草戸稲荷の起りである。

現在の草戸稲荷神社〈福山市草戸町1467番地〉の前の芦田川中洲にあった刀匠一乗屋敷跡から、神社の鳥居の柱痕や祭祀関係の遺物が出土したことによって、室町時代の刀匠法華一乗稲荷社(のちの草戸稲荷社)の存在が証明されました なお、中州から現在の場所に移されたのは、寛永11年(1634年)6月のことです